PIXPRO SP360 4Kをお借りする機会があったので試しに軽く撮影、After Effectsで展開、YouTubeにアップロードまでやってみましたのでその解説をしていきます。
目次
- KodakのサイトにPIXPRO SP360 4K用のソフトウェアがありそれをダウンロードして使えば撮影したファイルを展開するのは手っ取り早いのですが、
- さすがにこの状態では使えないのでAfter Effectsを使って展開していきます。
- まずAfter Effectsを立ち上げ PIXPRO SP360 4Kで撮った2880×2880の映像ファイルを読み込みます。
- レイヤーのMP4ファイルを選択して「エフェクト」から「ディストーション」→「アップスケール(ディテールを保持)」を適用します。
- 次にこの丸い映像を平らにする作業です。
- 書き出します。Media EncoderでMP4に書き出すなり他の形式で書き出してからMP4にするなりなんなりしてください。
- 確認してみると映像の端と端のつなぎ目がどうも目立つんですよね。
- 360°で観た時の切れ目を目立たなくする為の作業をしていきます。
- なお「アップスケール(ディテールを保持)」を使うとレンダリング時間がすごく延びます。
- という事で「アップスケール(ディテールを保持)」を使わない方法も書いておきます。
- ここで終わりでも良いのですが、せっかくなので少し色の補正をします。下の画像は色補正前です。
- あと正面の位置(YouTubeで表示した時にまず表示される所)を調整したい場合は「ディストーション」の「オフセット」を使用します。
- あと「PIXPRO SP360 4K」の使ってみたおおまかな感想を書いてみます。
- まず手軽に普段持ちで撮影というのであればこれはもう断然「THETA S」がお勧めです。
KodakのサイトにPIXPRO SP360 4K用のソフトウェアがありそれをダウンロードして使えば撮影したファイルを展開するのは手っ取り早いのですが、
http://kodakpixpro.com/Americas/support/downloads.php
「PIXPRO Software Downloads For PC/MAC」というタブに移動
なぜかうちの環境だとノイズが入ってしまい使い物になりません。
このような黒い線が入ります。
最初は通常に書き出せていたような気がするんですが…
CUDAのバージョンを7.5.25にしてからのような気がします。(確証はありません) ※追記:CUDA.frameworkを削除して再起動させましたが変化はありません。
さすがにこの状態では使えないのでAfter Effectsを使って展開していきます。
追記:サポートとやりとりして直していただいたのですが、その直ったバージョンの配布はまだのようです。
以下解説になります。
After Effectsでの作業はこちらのブログを参考にさせていただきました。こちらではPremiere Proも使っています。
さらに高解像度(3840×1920)の360度動画を作成してみる - SP360 4Kレビュー(6)
http://yaaam.blog.jp/archives/50645108.html
まずAfter Effectsを立ち上げ PIXPRO SP360 4Kで撮った2880×2880の映像ファイルを読み込みます。
2880×2880の映像ファイルを下のコンポジションマーク?にドラッグして新規コンポジションを作成します。
このような新規コンポジションが作成されます。
ここでコンポジション設定を確認します。
2880×2880のコンポジションですが、YouTubeにアップするのは3840×1920の映像なので変更します。
コンポジションの幅を3840、高さを1920にします。あと背景色は白の方が後々作業しやすいかもしれません。
そうするとこんな表示になります。
レイヤーのMP4ファイルを選択して「エフェクト」から「ディストーション」→「アップスケール(ディテールを保持)」を適用します。
コンポジションの横が空いている状態なのでそこを拡大して埋める為です。普通に拡大するよりかは画質良く拡大できます。
(※「アップスケール(ディテールを保持)」を使わない方法も下の方に書いています)
「アップスケール(ディテールを保持)」のスケールを133パーセントにします。これで横幅ほぼ埋まるんですがちょっと白いのが見えていますね。
100パーセント表示してみるとこんな感じでまだ空いています。なので「コンポジションの幅に合わせる」のボタンをクリックしてください。
そうするとスケールの値が微妙に増えて「133.3333」になりました。横の白い部分も見えなくなり埋まったようです。
始めからスケールの値は入力しないで「コンポジションの幅に合わせる」のボタンを押せば「133.3333」になります。
次にこの丸い映像を平らにする作業です。
レイヤーのMP4を選択した状態で「エフェクト」から「ディストーション」→「極座標」を適用します。
「極座標」を適用しただけではまだ丸い状態なので補間の値を100パーセントにします。
そうすると映像が平らになります。
しかしこの状態ではコンポジションから映像がはみ出ていますのでこれを調整します。MP4のスケールを確認してください。
「100.0」「100.0」となっています。
リンクマークのようなチェックをクリックして外してから「100.0」「50.0」にします。
横「100パーセント」縦「50パーセント」ですね。
そうすると縦の幅も丁度コンポジションの大きさに合いました。
ここで映像を確認してみると実は左右反転した状態になっています。
右と左が実際に見た時の逆ですね。下の画像ではわかりにくいのですが。というかわかりませんね。
なのでスケールの横の値を「-100」にします。そうすると左右反転状態が修正できます。
これでいったんAfter Effectsでの展開作業を終了します。
このときレイヤーのMP4の位置を「1920」「960」になっているか確認します。
その数値になっていなければ「1920」「960」に直してください。
書き出します。Media EncoderでMP4に書き出すなり他の形式で書き出してからMP4にするなりなんなりしてください。
H.264のビットレート50MB/秒ほどあれば大丈夫かと思います。
書き出した拡張子.MP4のファイルをGoogleで配布している「360VideoMetadata」を使ってメタデータを埋めこみます。
そのメタデータを埋め込んだファイルをYouTubeにアップしてください。
「360VideoMetadata」配布場所はこちら。https://support.google.com/youtube/answer/6178631?hl=ja
「360VideoMetadata」の使い方はこちらをご覧ください。http://動画素材.com/blog/post-3373/
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【THETA S】VR360°動画撮影・編集・YouTubeアップまで。動画編集〜アップロード編【RICOH】2016.10.27タグ付けで追記あり
前回は【THETA S】でVR360°動画撮影するところに関して解説しました。 THETA Sの廉価版が出ました。HDMI出力無しのムービー連続撮影5分まで。 4K動画撮影ができるTHETA Vが出ま ...
で、YouTubeにアップしてからしばらく経つと360°の映像がchromeで見れます。Safariでは見れません。
iOSのYouTubeアプリでも360°で観れる事は確認しています。
確認してみると映像の端と端のつなぎ目がどうも目立つんですよね。
これはあんまりよろしくないなという事でちょっと微調整します。
360°で観た時の切れ目を目立たなくする為の作業をしていきます。
先ほどのコンポジションに戻り元素材の大きさを確認。横-100の縦50です。
これを横 -99.85%に変更します。縦は50%のままで
上の「-100」の時と「-99.85」の時とはよく見ると違うのがわかります。
「-100」の時は素材がちょっとトリミングされて切れちゃっているんですよね。
「アップスケール(ディテールを保持)」の値を調整するのも良いかと思いますがその場合は縦の大きさも変わりますので素材の大きさを変えた方がわかりやすいかと。
これで書き出して再度メタデータを埋め込みYouTubeにアップすると、ほぼほぼつなぎ目がわからない状態になりました。
光の強い所、明るい所など場所にはよっては明らかにわかったりしますがそれでも以前の状態よりかは目立たないです。
なお「アップスケール(ディテールを保持)」を使うとレンダリング時間がすごく延びます。
どのくらい延びるかというと「アップスケール(ディテールを保持)」を使っていない時の2倍から3倍は延びます。
なのでクオリティはそこまで拘らないで良いという場合は「アップスケール(ディテールを保持)」を使わず映像素材の大きさを調整します。
それと「アップスケール(ディテールを保持)」はバージョンCC以降に搭載された機能だったかと思いますので、
それ以前のバージョンは素材の大きさを調整する事になります。
という事で「アップスケール(ディテールを保持)」を使わない方法も書いておきます。
「極座標」で補間を100パーセントにしてから元々の映像の横を「-133.35パーセント」縦を「66.7パーセント」にします。
コンポジションの大きさはもちろん3840×1920です。
この状態で書き出し、メタデータをつけてYouTubeにアップしますと、つなぎ目はあまりわからない状態になっています。
「アップスケール(ディテールを保持)」は使っていないので比べてみると確かに映像が眠い感じにはなっておりますが大画面とかで観るとかまじまじ比べてみるとかでなければそんなにわからないのではないかとは思います。360°の表示自体映像をかなり引き伸ばしているものですし。
とりあえずはAfter EffectsでのPIXPRO SP360 4Kで撮った映像を展開する方法は以上です。
YouTubeにアップする前に「360VideoMetadata」でメタデータを埋め込むのを忘れないでください。
「360VideoMetadata」配布場所はこちら。https://support.google.com/youtube/answer/6178631?hl=ja
「360VideoMetadata」の使い方はこちらをご覧ください。http://動画素材.com/blog/post-3373/
ここで終わりでも良いのですが、せっかくなので少し色の補正をします。下の画像は色補正前です。
明るいところと暗いところを一緒に撮ると暗いところがかなり暗く沈みがちなのでエフェクトの「シャドウ・ハイライト」を適用。
「量を自動補正」のチェックを外し、「シャドウの量」を20にして暗いところを明るく持ち上げ、「ハイライトの量」を5にして明るい所を若干暗くしています。
更に「色相/彩度」を適用して「マスターの彩度」を20に設定。
あまり細かく微調整しても実際は引き伸ばして表示されてぼんやりした感じにはなるので、
暗いところを明るく持ち上げるという所をしっかりやれれば良いかと思います。
下の部分を隠す為に白い平面を置いています。
隠さないでそのままアップロードすると四つ葉のクローバーみたいになっててそれはそれで面白いんですけどね。
ここまでやったYouTubeの映像が以下になります。PC版はchromeだと360°で観れます。iOSはYouTubeのアプリで観れます
あと正面の位置(YouTubeで表示した時にまず表示される所)を調整したい場合は「ディストーション」の「オフセット」を使用します。
「オフセット」も確かバージョンCC以降の搭載だったような…「オフセット」が無い場合は同じレイヤー二つつくって横にぴったり並べて移動させてください。
「オフセット」左側の値1440を適当に動かすと
このように表示位置をずらす事ができます。
映像の真ん中がYouTubeで映像を再生した時にまず表示される部分です。
なので冒頭見せたいものなどがある場合は真ん中に持ってくるようにしましょう。
あと「PIXPRO SP360 4K」の使ってみたおおまかな感想を書いてみます。
以前はリコーのTHETA Sを使って撮影・編集・YouTubeへのアップロードまでやりましたのでそれとの比較となります。
【THETA S】360°動画撮影・編集・YouTubeアップまで。動画編集〜アップロード編【RICOH】
まず手軽に普段持ちで撮影というのであればこれはもう断然「THETA S」がお勧めです。
写真画質はかなり良いですし1台で全天球撮影できます。撮った後もモバイル・PC環境ですぐに楽しめますので、気軽にVR撮影したいというのであれば「THETA S」が良いですね。
ただし「THETA S」だと動画撮影及びタイムラプス撮影になるとそこまでお勧めできません。
動画は1920×960ですがとても画質が良いとは言えません。VRで観るとVHSよりちょっと画質良いかなというくらいです。
タイムラプスは1枚1枚の写真画質はとても良いのですが、「THETA S」での長時間撮影ができないようです。
なので短めのタイムラプスであればかなり使えるかとは思いますが長時間がっつりとはできません。(せいぜい2時間くらい?熱の問題なのかバッテリーの問題なのか。)
「PIXPRO SP360 4K」は1台だと全天球の撮影はできません。全天球撮影したい場合は「PIXPRO SP360 4K」が2台必要になります。前と後ろもしくは上下で2台ですね。
1台だけだと水平方向360°、垂直方向に235°となるので完全な360°映像とはなりません。
↑こういうのを使って2台合わせます。
そして更にPIXPRO 360 STITCHなどを使って自分で2台のVRファイルを貼り合わせます。
2台揃えると10万超えますので中々お勧めはできませんが、
1台だけで全天球じゃなくても良い、VR動画をなるべく高画質で撮りたい、長時間のタイムラプスをやりたいといった場合はお勧めできます。
「PIXPRO SP360 4K」は写真に関してはそこまで画質が良いというものではありません。ただ安定的に長時間のタイムラプスをやるのであれば「PIXPRO SP360 4K」の方が良いですね。床とか地面に近いところに置いてしまえば全天球じゃなくても良いわけで。
あとタイムラプスで撮ったものはすぐ動画ファイルになります。
今回iPhoneから「PIXPRO SP360 4K」のアプリで操作したのですが、これも中々使いやすいとは言えないです。操作方法の予習は必須です。
それとどうも「PIXPRO SP360 4K」からのWi-Fiが弱いせいなのか軽快にプレビューしやすいとは言えないですし操作がしやすいとも言えないです。
・あまり細かい事は考えずに使えて高画質の全天球スナップ写真が撮れる「THETA S」
・動画はまかせろの「PIXPRO SP360 4K」といったところでしょうか。
■こちらも参考にしてみてください。
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投稿者プロフィール
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もうだいぶ前からになりますがクラブVJをやっていました。 そこから映像関係のお仕事をやるようになり、コンサートや企業プレゼン、展示会などのムービーを創ったり、時にはプレゼンテーション素材をつくったりするようになりました。
今はPVなども制作したり動画素材を配布・販売したりしています。
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